マイホームを検討中の方の大きな関心を集めていた住宅ローン控除の改正ですが、最新情報がまとまってきましたので、お知らせしたいと思います。
議論の流れから考えて、従来よりも「縮小」の方向で固まったことは仕方のないことだと思われます。今回の改正ではより従来よりも細分化された部分もありますので、要点をしっかりと把握しておきましょう。
控除率は、新築・中古共に0.7%に変更
住宅ローン控除とは『住宅ローンを借入してマイホームを取得(新築、購入、増改築等)すると、年末のローン残高の一定割合を一定期間にわたり所得税と住民税から控除する制度』です。
注目される一つ目のポイントは控除率です。今回の控除率は年末残高の0.7%が適用(一律)となります。これは新築・中古を問わず共通になります。制度の適用期間は2022年(令和4年)〜2025年(令和7年)の4年間です。
住宅ローン控除は時限立法のため、期限に限りがあることに注意しましょう。これまでも様々な改正を繰り返して継続されてきましたが、終了してしまう可能性もあります。ひとまず4年間は延長されたということになります。
また所得上限は2000万円に引き下げられました。年間の合計所得が2000万円を超える人は適用外ですので、特に複数の収入がある人などは気をつけましょう。
新築と中古で異なる適用期間
もうひとつの注目ポイントだった控除期間(適用期間)ですが、新築または消費税課税物件は13年間、中古物件は10年間の2つに分けられました。
新築または消費税課税物件 | 中古物件 | |
控除期間(適用期間) | 13年間 | 10年間 |
売主が個人となる中古物件は、個人間売買となるため消費税はかかりません。中古物件の場合(非課税)は、適用期間は原則として10年間になります。
例外として、不動産会社が中古物件を買い取り、リフォーム再販する場合は「消費税課税物件」となり適用期間は13年間となります。
建物性能による借入限度額
【新築の借入限度額の区分】
住宅の性能 | 2022年・2023年入居 | 2024年・2025年入居 |
認定住宅 | 5,000万円 | 4,500万円 |
ZEH水準省エネ住宅 | 4,500万円 | 3,500万円 |
省エネ基準適合住宅 | 4,000万円 | 3,000万円 |
一般住宅 | 3,000万円 | 2,000万円 |
【中古の借入限度額の区分】
住宅の性能 | 2022年・2023年入居 | 2024年・2025年入居 |
認定住宅 (ZEH・省エネ基準含) | 3,000万円 | 3,000万円 |
一般住宅 | 2,000万円 | 2,000万円 |
政府は「2050年までに温室効果ガスの排出量を実質0にする」という目標(いわゆるカーボンニュートラルの実現)を掲げています。住宅分野においても建物の性能に応じて限度額区分を設定し、目標実現に向けて取り組んでいくことになります。性能の良い住宅を優遇する形となりますが、このような建物は元々値段が高いためバランスを取った施策と言えます。
中古物件においては、制度が存続する今後4年間で借入限度額は変わりありません。
住宅ローン控除の最大限度額
上記の表に基づき、住宅ローン控除の最大限度額がいくらになるか計算してみましょう。
控除率一律0.7% | 2022年・2023年入居 | 2024年・2025年入居 |
認定住宅 | 35万円×13年=455万円 | 31.5万円×13年=409.5万円 |
ZEH水準省エネ住宅 | 31.5万円×13年=409.5万円 | 24.5万円×13年=318.5万円 |
省エネ基準適合住宅 | 28万円×13年=364万円 | 21万円×13年=273万円 |
一般住宅 | 21万円×13年=273万円 | 0円 ※ |
中古認定住宅 | 21万円×10年=210万円 | 21万円×10年=210万円 |
中古一般住宅 | 14万円×10年=140万円 | 14万円×10年=140万円 |
これは、あくまで最大控除金額の合計ですので、必ずしもこの金額が戻ってくるわけではありません。控除期間内のローン残高が限度額を下回った場合には、当然ながら減少します。
ここで注意していただきたいのは、※の部分(新築の一般住宅で2024・2025年入居の場合)です。2024年以降に建築確認を受ける新築住宅は、省エネ住宅に適合しないとローン控除を受けることが出来なくなるということになります。(2023年12月31日までに建築確認を受けるか、登記簿上の建築日付が2024年6月30日以前の住宅であれば、借入限度額2,000万円、控除期間10年間として住宅ローン減税が適用されます。)
住民税からの控除上限も変更
従来の住宅ローン控除では所得税で控除しきれなかった分を、住民税から控除することになっていましたが、2022年度からは、住民税から控除される最大金額が97,500円(前年度課税所×5%)に変更となります。
自分が支払っている所得税と住民税、両方を確認しておきましょう。
中古住宅の築年要件も緩和
従来の住宅ローン控除では、中古住宅の場合、一定の築年数を超えると適用外になっていました。
- 木造:20年以内
- 耐火構造:25年以内
2022年以降はこの要件が変更され、「昭和57年以降に建築された住宅=新耐震基準適合住宅」となります。
これまでは木造で築21年を超えた物件の場合は耐震基準適合証を取得するために、多くの場合5万円以上の出費となっていましたが、それがなくなります。
昭和56以前の住宅については、住宅ローン控除は適用外と覚えておきましょう。
今回の改正は、中古物件を購入する人にとっては、一部にプラスとなる部分があります。マイホーム購入をご検討の方は、今回の改正内容を確認いただき、中古物件を含めて検討してみてはいかがでしょうか。